2016年4月29日金曜日

プリムラや我も我もとひしめけり

(ぷりむらや われもわれもと ひしめけり)

近所の珈琲ショップのオープン記念にいただいた小さな苗が、満開です。次々に花をつけて、どんどん大きくなっています。ちょっとびっくり(^-^;) 桜草に似ていますが、おそらくプリムラ・マラコイデス(オトメザクラ)だと思います。

プリムラ・マラコイデス

心がけたのは、お水をあげすぎないことと、できるだけ花殻摘みをすること、少し肥料をあげることくらい。小さな花がこれだけ密集していると、花殻摘みが大変です。でも、枯れた花をマメに取り除くことで、種を作ることに割かれるエネルギーが不要になり、残りの花を咲かせる力になるそうです。実際、こうして見事に咲いてくれると、よっしゃ花殻摘むぞーと思えてくる。今日もやりました、ちょきちょきちょきちょき…気分は床屋さんです。

ちなみに、いただいたときはこんなでした。すぐに枯らしてしまうんじゃないか…とドキドキしながら、鉢と土を買って帰ったのでした。

2ヶ月前くらいかな?

巣立鳥絵入りの文の厚さかな

(すだちどり えいりのふみの あつさかな)

伊丹市立美術館で開催中の「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密展」を観てきました。ゴーリーの原画が日本で公開されるのは初めてです。暗くて不気味なお話が多いですが、なぜか惹かれます。繊細なペン画がもともと好きというのもありますし、柴田元幸さんの素晴らしい翻訳にもため息が出てしまう。初めて読んだのは、たしか「不幸な子供」でした。すごい絵本があるよ…と誰かに教えてもらったのがきっかけだったと思います。ほんとうに、救いのないお話…。

自画像が歩いていました

でも、なぜか彼のエピソードなどを読んでいると、あたたかな人間味を感じるんですよね。この展覧会で、その思いはさらに強くなりました。ゴーリーが、お母様にあてた手紙があるんです。それも、何通も。封筒には、毎回丁寧に描かれた彼らしいペン画。やっぱり不気味だったり残酷だったりするんですけど、ユーモラスでもあったりします。全部お母様のために描かれた絵。息子からこんな手紙をもらうのは、さぞかし嬉しいものなのだろうなぁと想像します。

美術館の佇まいも素敵でした

同時に開催されていた「蕪村の手紙」展も、小さな部屋ですがなかなか楽しかったです。『先日は美味しいお酒をありがとうございました。空樽を送り返しますのでまた恵んでください』という俳句仲間への手紙には笑ってしまい、私もこんなこと言ってみたいと思いました。

そうそう、来館者がゴーリーにあてて書いた手紙も展示されています。愛されているんだなぁとしみじみ感じるものばかり。

気づけば手紙づくしの一日。やっぱり、手紙って好きです。



2016年4月28日木曜日

湯の糸や豆ふくれゆく目借時

(ゆのいとや まめふくれゆく めかりどき)

いろいろとマメではない私も、珈琲だけは豆を挽くところから始めます。もうすっかり習慣で、朝起きたらまず珈琲ミルを手にとってしまいます。挽いた豆をドリッパーに入れ、細ーくお湯をそそぐと、むくむくと豆が膨れてくる…大好きな時間です。もう、儀式と言ってもいいかもしれません。



目借時…変わった季語です。正式には「蛙の目借時(かわずのめかりどき)」といい、春にうつらうつらと眠くなるのは蛙に目を借りられるから…という説からきているそうです。昔の人も面白いことを考えたものですね~。ちょっとホラーチックだなとも思ってみたり。何かひとつお話が書けそうです。

2016年4月27日水曜日

雨音や雫の空に春の果て

(あまおとや しずくのそらに はるのはて)

広島は、静かに雨が降り続いています。ベランダの花たちにのったたくさんの雫に、映った空をさがしてみたり。春ももうすぐ終わりかな。

ベランダの花ほたる


白蓮の闇をくり抜くごときかな

(はくれんの やみをくりぬくごときかな)

この時期、広島の中央通りと呼ばれるあたりは白木蓮がとても綺麗です。特に夜は、まっ白な花が映えます。見上げながら、鳩の形に空がくり抜かれたマグリットの絵を思い出しました。



2016年4月26日火曜日

一年生いい響きねと春惜しむ

(いちねんせい いいひびきねと はるおしむ)

とある日の山友だちとの山行で、登山教室の話を聞いてもらっていました。「一年生がね…、二年生がね…」。うんうんと聞いてくれていた友だちがぽつり、「一年生って、いい響きよね」。わたしも、まさに同じことを思っていました。まさかこの年になって、一年生と呼ばれる日が来ようとは…。くすぐったくも、ちょっと楽しいです。

その日の山は、ソメイヨシノはすっかり終わり、八重桜が満開でした。もうすぐ藤の季節です。

後ろで藤棚が待機中

「竹の秋」という季語もありますね

2016年4月21日木曜日

旅ごゝろ手帖を走る菜種梅雨

(たびごころ てちょうをはしる なたねづゆ)

朝からずっとしとしと雨。仕事に追われ家の中にこもりきりですが、お昼ごはんの後ふと八ヶ岳に行きたいなと山行計画を考え始めたら、止まらなくなってしまいました。ひとまず地図を買ってこなければ。

この辺りはしばらく雨の予報が続いているようです。GWのアルプスは晴れてくれると良いのですが。

うちの桜はすっかり葉桜です

2016年4月20日水曜日

山躑躅ほほばるむすび四つ目かな

(やまつつじ ほおばるむすび よつめかな)

今年のお花見登山は、山躑躅を見ることが多かったです。特に狙って行かなくても、あちらこちらに咲き乱れています(^_^)

行動食はいろいろ持っていくものの、なんだかんだで一番好きなのはおにぎり。おにぎりさえあれば満足と言っても過言ではないくらい…なので、いつも少し多めに持っていきます。バテる前に、早め早めに少しずつ食べておくことが肝心だそうです。なので、登山は痩せません(笑)。

傘山より

別の日の極楽寺山

2016年4月19日火曜日

初顔のうちとけゆくや春の水

(はつがおの うちとけゆくや はるのみず)

広島県山岳連盟による2年制の登山教室が始まりました。今年の小さなチャレンジです。第1回目の実習は、ちょっとドキドキ。初対面は緊張するものですが、先輩がたを含めいい人ばかりであっという間にうちとけていきました。

朝まで大雨だったため、沢は増水。水の色で危険度を見極める方法など、興味深いお話をたくさん聞けました。本やネットで知識はいくらでも手に入るけど、やはり経験にもとづくお話にはかないません。1回目からとても密度が濃く、これからがますます楽しみになりました。思いきって飛び込んでみてよかったです。

水は澄んでいました

やっと沢を抜ける

傘山から芸北方面の眺め

2016年4月9日土曜日

ホーケキョキョ春告げたしや懸命に

(ほーけきょきょ はるつげたしや けんめいに)

先日の白木山で、うぐいすのつたない声がとても可愛かったです。ホーホケキョ!と上手く鳴く子もいれば、何度鳴いても失敗する子もいて笑ってしまった。あれは練習してるんだよ、と教えてもらったことがあるんですけど、どうなんでしょう。

すごく近くで聞こえて目を凝らしてみても、なかなか姿を見つけることはできません。うぐいすに限らず、鳥たちのかくれんぼ能力は驚異的です。

馬酔木が満開

しばらく仕事のスケジュールが大変なことになってきました。でも楽しみな予定がいくつも合間に待っているので頑張れそうです。

2016年4月5日火曜日

ひとりゆく山かさと鳴る落椿

(ひとりゆくやま かさとなる おちつばき)

単独で白木山(889m)に登ってきました。広島県で標高差が最大の山です。今年の目標のひとつは単独行だったので、やっと達成できました。

ひとりで登っていると感覚が鋭敏になります。ちょっとした音にもびくっとしたり。すべて自己責任という緊張感。

まるで美しい模様のようにあちこちに椿の花が落ちていて、さっきの音はこれだったのかも、なんて思いました。



2016年4月3日日曜日

つひに咲き寝そべる窓べ花曇

(ついにさき ねそべるまどべ はなぐもり)

ベランダの一才桜(旭山桜)が、ついに開花しました。世間よりちょっと遅い開花宣言です(^^) まだひとつ、でも毎日心待ちにしていたのですごく嬉しい。小さな鉢植えでちょっと下を向いて咲いているので、しばらく寝そべって覗き込んでいました。これからどんどん咲いてくれるかなー、楽しみ。

こっち向いてー

最近、トラベラーズノートの新色キャメルを衝動買いしました。オイルを塗り込んで、手持ちのビーズでちょっとだけカスタマイズ。さて何に使おうか…と考えていたら、「俳句帳にしたらどう?」と。言われてみれば、今まで俳句をどこに書きためていたかというとEvernote…情緒なさすぎる^^; 句帳、いいかもーと思って、この句はこのノートの中でこねくり回してみました。思考の後がくっきり残る手書きは、やっぱり面白いですね。絶対人には見られたくないけど(笑)。

句帳に…なるか?


2016年4月2日土曜日

春夕焼ひかうき雲が空わかつ

(はるゆやけ ひこうきぐもが そらわかつ)

広島は、ちょうど桜が見頃です。明日が雨の予報なので、もしかしたら今日が一番よい日だったかも。朝からずっと仕事していたので、お花見がてら6キロほどジョギングしてきました。もうだいぶ暖かい(^_^) 今日の最高気温は21℃だったようです。

途中、飛行機雲に気をとられてしばらく立ち止まってしまいました。どこまでもどこまでも、ひたすらに伸びていきました。