2013年12月18日水曜日

日記買ふ幼子の頬上気して

(にっきかう おさなごのほほ じょうきして)

この時期、手帳や日記売り場の熱気がすごいですね。先日は小さな子が「わたしコレ!」と一冊選んでいる場面を見かけました。来年への希望でいっぱいなんだろうなぁ、って感じの満面の笑みに、つられてニコニコ。

お年玉で、初めて鍵付きの日記帳を買った小学生のころを思い出しました。確か牛柄で水色の表紙だったな。何を書こうかワクワクしたっけ。

日記を書く習慣はブログも含め細々と続いていますが、最近は「人間いつ死ぬか分からないから、見られてまずいようなことは書かないでおこう」と思うようになり鍵が不要にw 大人になるって切ない。

トラベラーズノートを買ってから、絵日記っぽいものもたまに描くようになりました。こういうのはデッサンなど気にせず、ペンで気楽に一発描きするのが良いと聞いて実践中。なんだか新鮮で楽しいです。

頂き物の可愛いがま口

人生にリセットボタンはないけれど、すこしだけリセット気分が味わえる季節。仕事やら何やらまだまだ片付かないけど、あとひといき、頑張ろう。

2013年12月11日水曜日

きりり澄む空気を揺らす冬夕焼

(きりりすむ くうきをゆらす ふゆゆやけ)

冬のきりっと冷たい空気、潔くて好きです。それを溶かすかのようなあたたかい夕焼けも、また素敵。

このところ仕事でこもりきりなので、重い腰を上げて6キロ半ほどジョギング(一部、歩き)してきました。たとえではなく、ほんとに重い…。走った後はいつも「走ってよかった」と思うんですけど、腰を上げるまでが大変です。

今日の元安川


2013年12月9日月曜日

参道の模様を紡ぐ落葉風

(さんどうの もようをつむぐ おちばかぜ)

先日、登山ついでに三滝寺の境内を通りました。これから登る山や、青い空、ついつい見上げてばかりになりがちですが、ふと足元を見ればかわいらしい落葉の足あと。

確か去年も同じような写真を撮ったなーと苦笑いしつつもパシャリ。好きなものはなかなか変わらない。落葉掃きの光景を見ると、いつも少し「もったいないな」と思ってしまいます。感謝しなければいけないのですが(^-^;)

三滝寺の参道

11月は一句も詠んでいませんでした…つついてくれた友人に感謝w

2013年10月16日水曜日

野分あと雲さらわれて青深し

(のわきあと くもさらわれて あおふかし)

今年最大の台風がやってきた、ということで関東のほうは大変だったようです。大丈夫でしょうか…被害が広がりませんように。

広島は影響なしとの予報だったのですが、昨夜は風がものすごく何度も目が覚めました。今日もまだ風は強いけれど、雲で覆われていた空に日が差し始めて気持ちいいです。

だいぶ気温が下がってきました。早くも冬の足音が聞こえるような。


高い高い空



2013年9月27日金曜日

目を凝らしかの日を覗く美術展

(めをこらし かのひをのぞく びじゅつてん)

広島にゴッホがやって来た、ということで、駆け込みで見てきました。ゴッホ、昔は激しすぎて苦手だったのですが、いつからか大好きな画家の一人になりました。きっかけになった一枚は「星月夜」。彼の描く夜空が好きです。

絵の前に立つと、かつてそこに立ったであろう画家の姿が目に浮かんできます。つい目を細めて筆のあとを追うと、時には会話まで聞こえてきそう。ちょっとしたタイムスリップを味わえる場所、私にとって美術館はそんな空間です。

広島県立美術館


2013年9月18日水曜日

冬瓜や透きとほる実が湯気まとふ

(とうがんや すきとおるみが ゆげまとう)

初めて、冬瓜というものを買ってみました。やさしい味ですね。「冬」がつくのに秋の季語というのが面白い。ことこと煮るのも苦じゃない季節になりつつあります。すこし前からジョギングも再開しました。

今月は字幕と特許の二本立てがなかなか厳しいスケジュール。でもせっかくの秋だし、映画や美術館も行きたい。うまく息抜きできますように。

冬瓜ツナ煮

2013年9月7日土曜日

そよそよと川面を撫でし虫の闇

(そよそよと かわもをなでし むしのやみ)

仕事が思いのほか快調に進んで、お好み焼きにビールの夜。食後はセブンカフェを片手に川べり散歩。川面のさざ波にはいつも見とれます。

本格的に秋らしくなってきました。やわらかな冷たい風は気持ちいいけれど、もう半袖では風邪をひきそう。虫の声もたくさん聞こえてきます。あれは何虫かな。

秋は大好きなのですが、気づけばあっという間に冬になっているんですよね。短いなーと感じるのが常。もう少し、ゆっくりしていって。


夜の元安川

2013年9月1日日曜日

雨の朝秋運ぶ風ひんやりと

(あめのあさ あきはこぶかぜ ひんやりと)

今朝は、窓から入る風が冷たくてびっくりしました。寒いくらいの朝。関東は暑いようなので、ずいぶん違うものなのだなーと驚きます。そういえば九月に入ったのですね。

さて今日も熱い珈琲を淹れて一仕事。少々不慣れな分野に苦戦していましたが、きっとこれも成長につながるはず。つながれ^^

東千田公園


2013年8月29日木曜日

がたんごとん残暑を乗せて市電ゆく

(がたんごとん ざんしょをのせて しでんゆく)

広島の魅力のひとつが路面電車。窓を開けていると、がたんごとん、というのどかな音が聞こえてきて、仕事に追われていても何となく気持ちが落ち着きます。大好きなリズムです。

だいぶ秋めいてきましたが、まだ少しもわっとする暑さが残っていますね。これも、あと少しかな。

広島電鉄 宇品線



2013年8月25日日曜日

雨やみて静けさ破る秋の蝉

(あめやみて しずけさやぶる あきのせみ)

久々の大雨で気温も下がり、一気に秋めいてきたなと思っていたら、申し合わせたかのように聞こえてきた蝉の声。そうか、君たちの季節もあともう少しだものねー、などと思いながら、暑さの戻りに少し怯える。

ほとんど一日中机の前に座っている仕事ですが、窓を開けて仕事できる季節は気持ちがいいです。四季って素晴らしい。

塔のへつり駅(会津)



2013年8月23日金曜日

桐一葉風に運ばれ雨にほふ

(きりひとは かぜにはこばれ あめにおう)

今日の広島は雨の予報。暑さも心なしかやわらぎ、降り出しそうな予感の空にふっと雨のにおいがしたような。もうすぐかな。

鳩の物思い



2013年8月20日火曜日

向日葵や誰の願ひか背くらべ

(ひまわりや だれのねがいか せいくらべ)

先日のいわき帰省の折、近所の道ばたにずーっとひまわりが植えてありました。誰が植えたのか分からないけれど、まだまだ小さな苗もたくさん。「ひまわり」と書いた小さなプレートが土に刺してあり。

そういえば除染に効果があるかも、と話題になったりもしましたね。実験は残念な結果でしたが…。

それでも、まっすぐ胸を張るひまわりは力強くて、なんだか気持ちを明るくしてくれます。



暦上はもう秋ということで、秋の季語で詠まなければいけないのかな…と思いつつも、暑いし気分はまだまだ夏。印象的だったひまわりを詠んでおきたいなーと思ったのですが、やはりルール違反なのでしょうね。要勉強(^_^;)

2013年8月15日木曜日

小名浜の海きらめきし秋日傘

(おなはまの  うみきらめきし  あきひがさ)

広島に比べるとずっと涼しかったいわきですが、陽射しはまだまだきついですね。帰る前にちょっと海に挨拶。きらきら輝く水面が綺麗でした。

小さな頃から慣れ親しんだ海。学校の写生大会はいつも小名浜港周辺でした。名物は、貝にウニをたっぷり詰めて蒸した貝焼き。軽く炙ってごはんにのせ、お醤油をちらっと垂らすと絶品なのです。今は外国産のものに変わっています。

震災時、このあたりは津波にのまれ大打撃を受けましたが、だいぶ修復が進みました。右に見えるのが環境水族館「アクアマリンふくしま」です。



2013年8月11日日曜日

秋暑し月命日に頭垂る

(あきあつし  つきめいにちに  こうべたる)

東日本大震災から2年と5ヶ月。もうそんなに経つとは信じられないほど、まだいろいろなことが現在進行形です。亡くなられた方々が安らかに眠れますように。そして残された問題も少しずつ解決していけますように。11の日が巡ってくるたび、小さな祈りを捧げる。

明日、いわきに帰省します。

震災で津波に襲われた、いわき市薄磯海岸(2012年9月撮影)

2013年8月10日土曜日

濁りなき子らの歌ごゑ原爆忌

(にごりなき こらのうたごえ げんばくき)

9日は長崎の平和祈念式典をネット中継で見ました。そんな時代になったのですね。広島の式典でもそうでしたが、厳かな雰囲気の中、子どもたちの合唱が始まるとふっと涙ぐんでしまいます。重い感情に包まれる式典の中では、とても異質な存在。戦争など知らない子どもたち。青空に響きわたるその声はどこまでも澄んでいて、真っ直ぐでひたむきで、心動かされます。確かに紡がれていくであろう未来と希望を感じました。

今日も美しかった夕焼け

2013年8月9日金曜日

夕凪の光に溶けし千羽鶴

(ゆうなぎの ひかりにとけし せんばづる)

8月6日は原爆忌(広島忌)でした。平和記念式典に参列し、夜は川べりをずっとたどって灯籠流しを眺めに行きました。夜といっても19時ごろはまだ明るく、夕方といった風情。川べりに何ヶ所もある慰霊碑には花や折り鶴が供えられています。観光客の目にはふれないような場所にも本当にたくさん、祈りのあとが見えました。

沈んでゆく陽の光に照らされる折り鶴に、何度も足が止まる日でした。


とうろう流し


風薫る川べり駆けて一年目

(かぜかおる かわべりかけて いちねんめ)

広島に引っ越してきてちょうど1年目の日、いつものように元安川沿いを走っていました。5月、さわやかな風と緑のにおいで、ふと浮かんだ一句です。いろんなことがあったなぁ、心細かったけど頑張ったよね、と感慨深かった日。一見、1年前と同じようでいて、いろんなことが変わりました。

本当に何気なく浮かんだ一句で、季語など何も意識していなかったのですが、あとで調べたら「風薫る」が季語でした :)

大好きな川べり