2016年8月12日金曜日

こつちだよ導くやうに赤蜻蛉

(こっちだよ みちびくように あかとんぼ)

今朝も7時前からジョギングへ。昼や夕方に比べればまだ空気はひんやりとしているものの、日射しだけは避けられない…じりじりと灼かれ、走ったり歩いたり。結構山登りしているつもりでも、全然体力ないなぁと愕然とします。

先週くらいから、蜻蛉たちの姿が目につきはじめました。くるくるっと旋回し、一瞬止まったりして、また飛び始める。おいでおいで、と言われている気がしてきます。



2016年8月6日土曜日

鳩放たれ仰ぐ碧落原爆忌

(はとはなたれ あおぐへきらく げんばくき)

今年も、8月6日がやってきました。71年目。式典に参列し、モーニングを食べて帰るというのが習慣になりつつあります。今年も快晴の中、あふれるような蝉時雨でした。

式典の途中で鳩たちが放たれ、その一瞬、一斉に皆が同じ空を見上げます。そこにあるのは、ただの空ではないのだと思います。




2016年7月31日日曜日

片蔭やゆく人ゆく人吸ひ込まれ

(かたかげや ゆくひとゆくひと すいこまれ)

久々に、朝6時台にジョグに出てきました。まだ少しは涼しいし、通勤時間より人も少なくて思ったより快適でした。

でも日が射してくるとすぐに暑くなり、気づけば日陰ばかりを選んで走っています。



2016年7月10日日曜日

月涼し川の底には何かゐる

(つきすずし かわのそこには なにかいる)

今日は参議院選挙の投票日でした。仕事を片づけて投票したあと、大好きな本屋さんでしばらく至福の時間を過ごし、帰るころにはすっかり暗くなっていました。

月は少しかすんでいました。美しく光る水面の下には、生きるものたち、かつて生きたものたち、いろいろなものが飲み込まれています。夜の川は、なんとなく恐ろしい。

未来がすこしでも良い方向にゆきますように。

御幸橋より

2016年7月8日金曜日

本棚に隙間ひとつや夏の宵

(ほんだなに すきまひとつや なつのよい)

うちの本棚は本当に節操がないです。整理しなくちゃと思いつつカオスなまま、ぎゅうぎゅう。最近ちょっとしたきっかけで、久々に読書熱に火がついています。床にまで溢れているのを何とかしなければ。

ここから取り出したのはどの本だっけ…そんなことはしょっちゅう(^-^;) 反省はしています。



2016年7月6日水曜日

鳴りわたる熊鈴ひとつ木下闇

(なりわたる くますずひとつ こしたやみ)

先日の六甲全山縦走を思い出して詠みました。孤独とのたたかい、のような一面があった山行でした。



2016年7月5日火曜日

男梅雨山は逃げぬと強がりて

(おとこづゆ やまはにげぬと つよがりて)

男梅雨、という季語を教えてもらいました。激しく降ったり止んだりするのが男梅雨、じとじとと静かに降り続けるのが女梅雨、ということみたいです。女としては納得いかない部分もあるけど…(笑)

初のテント泊登山になる予定だった三瓶山がまさにそんな感じで。重いテントを担いで行ったものの、やんだかと思うとまた激しく降り出す雨に翻弄され、結局常設テントに泊まるだけで帰ってきました。近いのに、なかなか縁がない山です。

「山は逃げないからね」
わたしたちの決まり文句☺

携帯もつながらない状況で、テントの中でのんびりごろごろするのもなかなか贅沢な時間でした。

珈琲もっていってよかった

この日の日記→ 三瓶山で豪雨キャンプ

2016年4月29日金曜日

プリムラや我も我もとひしめけり

(ぷりむらや われもわれもと ひしめけり)

近所の珈琲ショップのオープン記念にいただいた小さな苗が、満開です。次々に花をつけて、どんどん大きくなっています。ちょっとびっくり(^-^;) 桜草に似ていますが、おそらくプリムラ・マラコイデス(オトメザクラ)だと思います。

プリムラ・マラコイデス

心がけたのは、お水をあげすぎないことと、できるだけ花殻摘みをすること、少し肥料をあげることくらい。小さな花がこれだけ密集していると、花殻摘みが大変です。でも、枯れた花をマメに取り除くことで、種を作ることに割かれるエネルギーが不要になり、残りの花を咲かせる力になるそうです。実際、こうして見事に咲いてくれると、よっしゃ花殻摘むぞーと思えてくる。今日もやりました、ちょきちょきちょきちょき…気分は床屋さんです。

ちなみに、いただいたときはこんなでした。すぐに枯らしてしまうんじゃないか…とドキドキしながら、鉢と土を買って帰ったのでした。

2ヶ月前くらいかな?

巣立鳥絵入りの文の厚さかな

(すだちどり えいりのふみの あつさかな)

伊丹市立美術館で開催中の「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密展」を観てきました。ゴーリーの原画が日本で公開されるのは初めてです。暗くて不気味なお話が多いですが、なぜか惹かれます。繊細なペン画がもともと好きというのもありますし、柴田元幸さんの素晴らしい翻訳にもため息が出てしまう。初めて読んだのは、たしか「不幸な子供」でした。すごい絵本があるよ…と誰かに教えてもらったのがきっかけだったと思います。ほんとうに、救いのないお話…。

自画像が歩いていました

でも、なぜか彼のエピソードなどを読んでいると、あたたかな人間味を感じるんですよね。この展覧会で、その思いはさらに強くなりました。ゴーリーが、お母様にあてた手紙があるんです。それも、何通も。封筒には、毎回丁寧に描かれた彼らしいペン画。やっぱり不気味だったり残酷だったりするんですけど、ユーモラスでもあったりします。全部お母様のために描かれた絵。息子からこんな手紙をもらうのは、さぞかし嬉しいものなのだろうなぁと想像します。

美術館の佇まいも素敵でした

同時に開催されていた「蕪村の手紙」展も、小さな部屋ですがなかなか楽しかったです。『先日は美味しいお酒をありがとうございました。空樽を送り返しますのでまた恵んでください』という俳句仲間への手紙には笑ってしまい、私もこんなこと言ってみたいと思いました。

そうそう、来館者がゴーリーにあてて書いた手紙も展示されています。愛されているんだなぁとしみじみ感じるものばかり。

気づけば手紙づくしの一日。やっぱり、手紙って好きです。



2016年4月28日木曜日

湯の糸や豆ふくれゆく目借時

(ゆのいとや まめふくれゆく めかりどき)

いろいろとマメではない私も、珈琲だけは豆を挽くところから始めます。もうすっかり習慣で、朝起きたらまず珈琲ミルを手にとってしまいます。挽いた豆をドリッパーに入れ、細ーくお湯をそそぐと、むくむくと豆が膨れてくる…大好きな時間です。もう、儀式と言ってもいいかもしれません。



目借時…変わった季語です。正式には「蛙の目借時(かわずのめかりどき)」といい、春にうつらうつらと眠くなるのは蛙に目を借りられるから…という説からきているそうです。昔の人も面白いことを考えたものですね~。ちょっとホラーチックだなとも思ってみたり。何かひとつお話が書けそうです。

2016年4月27日水曜日

雨音や雫の空に春の果て

(あまおとや しずくのそらに はるのはて)

広島は、静かに雨が降り続いています。ベランダの花たちにのったたくさんの雫に、映った空をさがしてみたり。春ももうすぐ終わりかな。

ベランダの花ほたる


白蓮の闇をくり抜くごときかな

(はくれんの やみをくりぬくごときかな)

この時期、広島の中央通りと呼ばれるあたりは白木蓮がとても綺麗です。特に夜は、まっ白な花が映えます。見上げながら、鳩の形に空がくり抜かれたマグリットの絵を思い出しました。



2016年4月26日火曜日

一年生いい響きねと春惜しむ

(いちねんせい いいひびきねと はるおしむ)

とある日の山友だちとの山行で、登山教室の話を聞いてもらっていました。「一年生がね…、二年生がね…」。うんうんと聞いてくれていた友だちがぽつり、「一年生って、いい響きよね」。わたしも、まさに同じことを思っていました。まさかこの年になって、一年生と呼ばれる日が来ようとは…。くすぐったくも、ちょっと楽しいです。

その日の山は、ソメイヨシノはすっかり終わり、八重桜が満開でした。もうすぐ藤の季節です。

後ろで藤棚が待機中

「竹の秋」という季語もありますね

2016年4月21日木曜日

旅ごゝろ手帖を走る菜種梅雨

(たびごころ てちょうをはしる なたねづゆ)

朝からずっとしとしと雨。仕事に追われ家の中にこもりきりですが、お昼ごはんの後ふと八ヶ岳に行きたいなと山行計画を考え始めたら、止まらなくなってしまいました。ひとまず地図を買ってこなければ。

この辺りはしばらく雨の予報が続いているようです。GWのアルプスは晴れてくれると良いのですが。

うちの桜はすっかり葉桜です

2016年4月20日水曜日

山躑躅ほほばるむすび四つ目かな

(やまつつじ ほおばるむすび よつめかな)

今年のお花見登山は、山躑躅を見ることが多かったです。特に狙って行かなくても、あちらこちらに咲き乱れています(^_^)

行動食はいろいろ持っていくものの、なんだかんだで一番好きなのはおにぎり。おにぎりさえあれば満足と言っても過言ではないくらい…なので、いつも少し多めに持っていきます。バテる前に、早め早めに少しずつ食べておくことが肝心だそうです。なので、登山は痩せません(笑)。

傘山より

別の日の極楽寺山

2016年4月19日火曜日

初顔のうちとけゆくや春の水

(はつがおの うちとけゆくや はるのみず)

広島県山岳連盟による2年制の登山教室が始まりました。今年の小さなチャレンジです。第1回目の実習は、ちょっとドキドキ。初対面は緊張するものですが、先輩がたを含めいい人ばかりであっという間にうちとけていきました。

朝まで大雨だったため、沢は増水。水の色で危険度を見極める方法など、興味深いお話をたくさん聞けました。本やネットで知識はいくらでも手に入るけど、やはり経験にもとづくお話にはかないません。1回目からとても密度が濃く、これからがますます楽しみになりました。思いきって飛び込んでみてよかったです。

水は澄んでいました

やっと沢を抜ける

傘山から芸北方面の眺め

2016年4月9日土曜日

ホーケキョキョ春告げたしや懸命に

(ほーけきょきょ はるつげたしや けんめいに)

先日の白木山で、うぐいすのつたない声がとても可愛かったです。ホーホケキョ!と上手く鳴く子もいれば、何度鳴いても失敗する子もいて笑ってしまった。あれは練習してるんだよ、と教えてもらったことがあるんですけど、どうなんでしょう。

すごく近くで聞こえて目を凝らしてみても、なかなか姿を見つけることはできません。うぐいすに限らず、鳥たちのかくれんぼ能力は驚異的です。

馬酔木が満開

しばらく仕事のスケジュールが大変なことになってきました。でも楽しみな予定がいくつも合間に待っているので頑張れそうです。

2016年4月5日火曜日

ひとりゆく山かさと鳴る落椿

(ひとりゆくやま かさとなる おちつばき)

単独で白木山(889m)に登ってきました。広島県で標高差が最大の山です。今年の目標のひとつは単独行だったので、やっと達成できました。

ひとりで登っていると感覚が鋭敏になります。ちょっとした音にもびくっとしたり。すべて自己責任という緊張感。

まるで美しい模様のようにあちこちに椿の花が落ちていて、さっきの音はこれだったのかも、なんて思いました。



2016年4月3日日曜日

つひに咲き寝そべる窓べ花曇

(ついにさき ねそべるまどべ はなぐもり)

ベランダの一才桜(旭山桜)が、ついに開花しました。世間よりちょっと遅い開花宣言です(^^) まだひとつ、でも毎日心待ちにしていたのですごく嬉しい。小さな鉢植えでちょっと下を向いて咲いているので、しばらく寝そべって覗き込んでいました。これからどんどん咲いてくれるかなー、楽しみ。

こっち向いてー

最近、トラベラーズノートの新色キャメルを衝動買いしました。オイルを塗り込んで、手持ちのビーズでちょっとだけカスタマイズ。さて何に使おうか…と考えていたら、「俳句帳にしたらどう?」と。言われてみれば、今まで俳句をどこに書きためていたかというとEvernote…情緒なさすぎる^^; 句帳、いいかもーと思って、この句はこのノートの中でこねくり回してみました。思考の後がくっきり残る手書きは、やっぱり面白いですね。絶対人には見られたくないけど(笑)。

句帳に…なるか?


2016年4月2日土曜日

春夕焼ひかうき雲が空わかつ

(はるゆやけ ひこうきぐもが そらわかつ)

広島は、ちょうど桜が見頃です。明日が雨の予報なので、もしかしたら今日が一番よい日だったかも。朝からずっと仕事していたので、お花見がてら6キロほどジョギングしてきました。もうだいぶ暖かい(^_^) 今日の最高気温は21℃だったようです。

途中、飛行機雲に気をとられてしばらく立ち止まってしまいました。どこまでもどこまでも、ひたすらに伸びていきました。



2016年3月29日火曜日

よき友は分けあへる友山笑ふ

(よきともは わけあえるとも やまわらう)

久しぶりに二葉山~尾長山~牛田山を縦走してきました。お花見には早いかなーと思っていましたが、ちらほら咲き始め。山も本当にうれしそう。鳥さんたちもにぎやかでした。鳥に詳しい友だちの解説を聞くのも楽しかったな。

がっつり登るのもいいけど、たまには山頂でのんびり。チーズフォンデュやホットサンド、牡蠣の燻製入りオムレツなど、豪華な持ち寄りごはんになりました。山友だちとは、ごはんだけでなくいろんなものを分け合っている気がします。

チーズフォンデュ

もうすこしね


実はこの句は、下記の型を使わせていただきました。

  よき友はものくるる友草紅葉(田中裕明)

この句は、「徒然草」117段の「よき友、三つあり。一つには、物くるる友」を下敷きにしているそうです(「初心者にやさしい俳句の練習帳」より)。ちょっとブラックユーモアが効いている☺ いろんな組み合わせを考えられそうで面白いなぁと思いました。

2016年3月26日土曜日

鳥雲に入りペンをとるおとうとへ

(とりくもにいり ぺんをとる おとうとへ)

弟からメールがありました。去年も慣れない環境ですごい頑張りを見せていて、身内ながら頭が下がる思いだったのですが、今年もまた大チャレンジの年になりそうとのこと。読んだ瞬間、「えー!」と声が出てしまった。

去年は英語に関することで思いがけずいろいろと力になることができて、久々に頼られるのが嬉しかったです。あのちっちゃかった弟が…としみじみ。

うちは、両親、妹、弟と、みんな離れて暮らしていますが、わりとマメに連絡を取り合っていて仲はいいほうだと思います。離れて暮らしているからこそ、なのかもしれません。

似島より

2016年3月25日金曜日

ふくふくとつぼみ緩むや冴返る

(ふくふくと つぼみゆるむや さえかえる)

春だな~と思える日が続いていましたが、またちょっと寒さが戻って来たみたいです。油断していると指先が冷え冷えに。一日中キーボードを叩く身にはなかなか厳しい…寒い季節は仕事中、ずっと指なし手袋をしています。

この春はベランダガーデンに目覚め、小さな桜の木まで買ってしまいました。すこしずつ蕾が膨らんでいくさまは、毎日眺めていても飽きません。がんばれ~(^_^)

一才桜(旭山桜)


2016年3月20日日曜日

春分や薄荷を摘みてお茶ひとつ

(しゅんぶんや はっかをつみて おちゃひとつ)

最近、ベランダが緑でいっぱいです。今回の仕事には手こずり気味で…午後はお茶を淹れて一息。ベランダのミントを摘んで、紅茶の葉と一緒にお湯を注ぎました。すっきり美味しい。

今年はちょっとチャレンジしてみたいことがあって、でも仕事と両立していけるかな…と迷っているところ。手を出したら、大変すぎて後悔するかもしれない。でも、チャレンジしなくてもきっと後悔するような気がする。だったら、チャレンジしてから後悔するほうがいいんじゃない? スーッとするお茶を飲みながら、だんだんそんなふうに考えが傾いていったり。

気づけば春分の日でした。4月から、またすこし気分一新です。

モロッカンミント