2016年4月29日金曜日

巣立鳥絵入りの文の厚さかな

(すだちどり えいりのふみの あつさかな)

伊丹市立美術館で開催中の「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密展」を観てきました。ゴーリーの原画が日本で公開されるのは初めてです。暗くて不気味なお話が多いですが、なぜか惹かれます。繊細なペン画がもともと好きというのもありますし、柴田元幸さんの素晴らしい翻訳にもため息が出てしまう。初めて読んだのは、たしか「不幸な子供」でした。すごい絵本があるよ…と誰かに教えてもらったのがきっかけだったと思います。ほんとうに、救いのないお話…。

自画像が歩いていました

でも、なぜか彼のエピソードなどを読んでいると、あたたかな人間味を感じるんですよね。この展覧会で、その思いはさらに強くなりました。ゴーリーが、お母様にあてた手紙があるんです。それも、何通も。封筒には、毎回丁寧に描かれた彼らしいペン画。やっぱり不気味だったり残酷だったりするんですけど、ユーモラスでもあったりします。全部お母様のために描かれた絵。息子からこんな手紙をもらうのは、さぞかし嬉しいものなのだろうなぁと想像します。

美術館の佇まいも素敵でした

同時に開催されていた「蕪村の手紙」展も、小さな部屋ですがなかなか楽しかったです。『先日は美味しいお酒をありがとうございました。空樽を送り返しますのでまた恵んでください』という俳句仲間への手紙には笑ってしまい、私もこんなこと言ってみたいと思いました。

そうそう、来館者がゴーリーにあてて書いた手紙も展示されています。愛されているんだなぁとしみじみ感じるものばかり。

気づけば手紙づくしの一日。やっぱり、手紙って好きです。



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